第3部 刑法の一般原則 ― PART 3. GENERAL PRINCIPLES OF CRIMINAL LAW

第22条 「法なくして犯罪なし」 ―Article 22 Nullum crimen sine lege

1 いずれの者も、問題となる行為が当該行為の発生した時において裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を構成しない限り、この規程に基づく刑事上の責任を有しない。2 犯罪の定義については、厳格に解釈するものとし、類推によって拡大してはならない。あいまい…

第23条 「法なくして刑罰なし」 ―Article 23 Nulla poena sine lege

裁判所によって有罪の判決を受けた者については、この規程に従ってのみ処罰することができる。 A person convicted by the Court may be punished only in accordance with this Statute. いかなる人も、本裁判所によって有罪とされた場合に、本規程と合致す…

第24条 人に関する不遡及 ―Article 24 Non-retroactivity ratione personae

1 いかなる者も、この規程が効力を生ずる前の行為についてこの規程に基づく刑事上の責任を有しない。2 確定判決の前にその事件に適用される法に変更がある場合には、捜査され、訴追され、又は有罪の判汝を受ける者に一層有利な法が適用される。 1. No person…

第25条 個人の刑事責任 ―Article 25 Individual criminal responsibility

1 裁判所は、この規程に基づき自然人について管轄権を有する。2 裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を行った者は、この規程により、個人として責任を有し、かつ、刑罰を科される。3 いずれの者も、次の行為を行った場合には、この規程により、裁判所の管轄権…

第26条 十八歳未満の者についての管轄権の除外 ―Article 26 Exclusion of jurisdiction over persons under eighteen

裁判所は、犯罪を実行したとされる時に十八歳未満であった者について管轄権を有しない。 The Court shall have no jurisdiction over any person who was under the age of 18 at the time of the alleged commission of a crime. 本裁判所は、犯罪の実行の…

第27条 公的資格の無関係 ―Article 27 Irrelevance of official capacity

1 この規程は、公的資格に基づくいかなる区別もなく、すべての者についてひとしく適用する。特に、元首、政府の長、政府若しくは議会の一員、選出された代表又は政府職員としての公的資格は、いかなる場合にも個人をこの規程に基づく刑事責任から免れさせる…

第28条 指揮官その他の上官の責任 ―Article 28 Responsibility of commanders and other superiors

裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪についての刑事責任であってこの規程に定める他の事由に基づくものほか、 (a) 軍の指揮官又は実質的に軍の指揮官として行動する者は、その実質的な指揮及び管理の下にあり、又は状況に応じて実質的な権限及び管理の下にある…

第29条 出訴期限の不適用 ―Article 29 Non-applicability of statute of limitations

裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪は、出訴期限の対象とならない。 The crimes within the jurisdiction of the Court shall not be subject to any statute of limitations. 本裁判所の管轄権に属する犯罪は、いかなる消減時効または出訴期限にも服さない。

第30条 主観的な要素 ―Article 30 Mental element

1 いずれの者も、別段の定めがある場合を除くほか、故意に及び認識して客観的な要素を実行する場合にのみ、裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪について刑事上の責任を有し、かつ、刑罰を科される。2 この条の規定の適用上、次の場合には、個人に故意があるも…

第31条 刑事責任を免除する事由 ―Article 31 Grounds for excluding criminal responsibility

① 本規程に定める刑事責任を免除する他の事由に加えて、行動の時において、次に掲げる場合に当たるときは、その人の刑事責任はない。 a その人が、自己の行為の違法性もしくは性質を評価する人の能力または法の要求に従う自己の行動を制御する能力を破壊する…

第32条 事実の錯誤および法の錯誤―Article 32 Mistake of fact or mistake of law

① 事実の錯誤は、それが犯罪によって必要とされる主観的要素を否定する場合に限り、刑事責任を免除する事由とする。 ② 特定の行為が本裁判所の管轄権に属する犯罪であるかどうかについての法の錯誤は、刑事責任を免除する事由とされない。ただし、法の錯誤は…

第33条 上官の命令および法の命令―Article 33 Superior orders and prescription of law

① 本裁判所の管轄に属する犯罪が、政府または軍民を問わず上官の命令に従って、行われた場合、行為者の刑事責任は、次に掲げる場合でなければ、免除されない。 a その人が、政府または当該上官の命令に従う法的な義務を負っていた場合であって、 b その人…