第55条 捜査中における人の権利 ―Article 55 Rights of persons during an investigation

① 本規程に基づく捜査に関して、次に掲げる事項の通りとする。 a 自ら罪を負い、または有罪であると自白することを強制されてはならない。 b いかなる形態の強制、威迫もしくは脅迫の対象とされ、または、拷問その他の残虐で、非人間的もしくは品位をおとし…

第56条 唯一の捜査機会に関する予審部の役割 ―Article 56 Role of the Pre-Trial Chamber in relation to a unique investigative opportunity

①a 検察官は、捜査が証人による証言もしくは供述を得て、または、証拠を検討し、収集しもしくは検査するための唯一の機会であると考える場合であって、後になっては裁判の目的のためにこれを利用できないときは、予審部にその旨通知しなければならない。 b …

第57条 予審部の職務および権限 ―Article 57 Functions and powers of the Pre-Trial Chamber

① 予審部は、本条の規定に従ってその職務を行なう。ただし、本規程に別に定める場合はこの限りでない。 ②a 第15条、第18条、第19条、第54条第2項、第61条第7項および第72条に従って発せられた予審部の命令または決定は、その裁判官の多数の一致した意見に基…

第58条 予審部による逮捕状または召喚状の発付 ―Article 58 Issuance by the Pre-Trial Chamber of a warrant of arrest or a summons to appear

① 捜査開始後いつでも、予審部は、検察官の要請に基づいて、検察官の要請および検察官の提出した証拠またはその他の情報を審査した後に、次に掲げる要件を満たす場合は、逮捕状を発しなければならない。 a その人が本裁判所の管轄権に属する犯罪を行なったと…

第59条 身体拘束を行なった国における逮捕 ―Article 59 Arrest proceedings in the custodial State

手続 ① 仮逮捕または逮捕および引渡しの要請を受けた締約国は、自国の法および本規程第9部の規定に従って、当該人を逮捕する手段を直ちにとらなければならない。 ② 逮捕された人は、身体拘束を行なった国の権限ある裁判所の面前に直ちに引致されなければなら…

第60条 本裁判所への冒頭手続 ―Article 60 Initial proceedings before the Court

① 本裁判所にその人が引き渡され、または、その人が任意にもしくは召喚に応じて本裁判所に出頭した場合、予審部は、その人が実行したとされる犯罪および、公判前に一時的な釈放を要請する権利を含む。本規程にいう権利について告知を受けていることを確認し…

第61条 公判前における嫌疑の確認 ―Article 61 Confirmation of the charges before trial

① 本条第2項の規定に従って、その人が引き渡されまたは任意に裁判所に出頭した後合理的な期間内に、予審部は、検察官が公判を求めようとする理由となる嫌疑を確認するため、聴聞を行わなわなければならない。この聴聞は、検察官および起訴された人ならびにそ…

第62条 公判の場所 ―Article 62 Place of trial

別に定める場合を除き、公判の場所は、本裁判所の本拠地とする。 Unless otherwise decided, the place of the trial shall be the seat of the Court.

第63条 被告人の出席する公判 ―Article 63 Trial in the presence of the accused

① 被告人は、公判の間、出席しなければならない。 ② 被告人が本裁判所に出席しても依然として公判を妨げる場合、公判部は、被告人を退去させることができ、必要な場合には通信技術の使用によって、被告人が法廷外から公判を傍聴し弁護人に指示するよう措置し…

第64条 公判部の職務および権限 ―Article 64 Functions and powers of the Trial Chamber

① 本条に定める公判部の職務および権限は、本規程ならびに手続および証拠の規則に従って行なわれなければならない。 ② 公判部は、公判が公正かつ迅速に、被告人の権利に対する十全な尊重をもって、かつ、被害者および証人に対する正当な配慮をもって、行なわ…

第65条 有罪の自認の場合における手続 ―Article 65 Proceedings on an admission of guilt

① 被告人が第64条第8項第a号に従って有罪を自認する場合、公判部は、次に掲げる事項の有無について判断しなければならない。 a 被告人が有罪の自認の性質および結果を理解しているかどうか b 自認が、弁護人と十分協議した後で被告人によって任意になされた…

第66条 無罪の推定 ―Article 66 Presumption of innocence

① いかなる人も、適用される法に従って本裁判所において有罪が証明されるまでは、無罪と推定される。 ② 被告人の有罪を証明する責任は、検察官にある。 ③ 被告人を有罪とするため、本裁判所は、合理的な疑いを越えて被告人の有罪を確信しなければならない。 …

第67条 被告人の権利 ―Article 67 Rights of the accused

① いかなる被疑事実を判断するについても、被告人は、本規程の定めに関して、公開の聴聞、公平に行なわれた公正な聴聞および、完全に平等に、次に掲げる最低限の保障に対する権利を有しなければならない。 a 被疑事実の性質、原因および内容について、被告人…

第68条 披害者および証人の保譲およびその手続への参加 ―Article 68 Protection of the victims and witnesses and their participation in the proceedings

① 本裁判所は、被害者および証人の安全、心身の健康、尊厳およびプライバシーを保護するのに適切な措置をとらなければならない。この場合、本裁判所は、年齢または第7条第3項に定める性別および健康を含むあらゆる関連する要素を考慮し、かつ、犯罪が性的暴…

第69条 証拠 ―Article 69 Evidence

① 証言する前に、証人はそれぞれ、手続および証拠の規則に従って、証人が行なおうとする証拠の真実性について宣誓しなければならない。 ② 公判における証人の証言は、本人みずから行なわなければならない。ただし、第68条または手続および証拠の規則に定める…

第70条 裁判の運営に対する犯罪 ―Article 70 Offences against the administration of justice

① 本裁判所は、次に掲げる裁判の通常に対する犯罪が故意に行なわれた場合、これに対する管轄権をもつ。 a 第69条第1項に従って真実を述べる義務があるにもかかわらず、偽りの証言をする行為 b 当事者が虚偽または偽造されたものと知っている証拠を提出する行…

第71条 本裁判所における非行に対する制裁 ―Article 71 Sanctions for misconduct before the Court

① 本裁判所は、その手続を妨害しまたは意図的にその指示に従わないことを含む、非行をその面前で行なった現在する人に対して、法廷からの一時的もしくは恒久的な排除、罰金または手続および証拠の規則に定めるその他の同様な措置など、拘禁を除く行政的措置…

第72条 国家的安全に関する情報の保護 ―Article 72 Protection of national security information

① 本条は、国の情報または文書の開示が、その国の意見によれば、その国家的安全に関する利益を害するものとなる場合に適用する。このような事件は、第56条第2項および第3項、第61条第3項、第64条第3項、第67条第2項、第68条第6項、第87条第6項および第93条を…

第73条 第三者の情報または文書 ― Article 73 Third-party information or documents

締約国が、国、政府間機関または国際機関によって秘密裡に開示されたものであって、その国が保管、所持または管理している文書または情報を提供するよう、本裁判所によって要請された場合、この締約国は、当該情報または文書の開示について、原作成者の同意…

第74条 判決に関する要件 ― Article 74 Requirements for the decision

① 公判部のすべての裁判官は、公判のそれぞれの段階において、かつ、評議の期間を通じて、出席しなければならない。統括部は、事件ごとに、公判部の裁判官が継続して出席できない場令、1名以上の交替裁判官をもって、公判のそれぞれの段階に出席させ、公判部…

第75条 被害者の賠償 ― Article 75 Reparations to victims

① 本裁判所は、還付、補償および復権を含む、被害者への賠償または被害者の尊重に関する原則をつくらなければならない。これに基づき、本裁判所は、その裁判において、要請に基づきまたは例外的な事情の場合においては職権をもって、被害者に対するまたは関…

第76条 量刑 ― Article 76 Sentencing

① 有罪の場合、公判部は、科すべき適切な量刑を考慮し、量刑に関連して、公判中に提出された証拠およびなされた陳述を考慮しなければならない。 ② 第65条が適用する場合を除き、公判の完了の前に、公判部は、手続および証拠の規則に従って、職権に基づき、量…

第77条 適用しうる刑罰 ― Article 77 Applicable penalties

① 第110条に従って、本裁判所は、本規程第5条に定める犯罪について有罪とされた人に対し、次に掲げる刑を科すことができる。 a 30年以下の有期の拘禁刑 または b 犯罪がきわめて重大であって有罪とされる人の個人的事情によって正当とされる場合において、終…

第78条 量刑の確定 ― Article 78 Determination of the sentence

① 量刑を確定するにあたって、本裁判所は、手続および証拠の規則に従って、犯罪の重大性および有罪とされる人の個人的事情などの要素を考慮しなければならない。 ② 拘禁刑を科すにあたって、本裁判所は、本裁判所の命令に従って勾留されていた期間を控除しな…

第79条 信託基金 ― Article 79 Trust Fund

① 締約国会議の決定により、本裁判所の管轄権に属する犯罪の被害者およびその家族の利益のため、信託基金を設立しなければならない。 ② 本裁判所は、その命令によって、罰金または没収によって取得した金銭およびその他の財産を信託基金に移すように命じるこ…

第80条 刑罰および国内法の適用を妨げない ― Article 80 Non-prejudice to national application of penalties and national laws

本規程第7部のいかなるものも、国によるその国内法に定める刑罰の適用または本規程第7部に定める刑罰を規定していない国の法に影響するものではない。 Nothing in this Part affects the application by States of penalties prescribed by their national l…

第81条 無罪判決、有罪判決または量刑に対する上訴 ― Article 81 Appeal against decision of acquittal or conviction or against sentence

① 次に掲げる場合、第74条に基づく判決に対して、手続および証拠の規則に従って上訴することができる。 a 検察官は、次に掲げるいずれかの理由に基づいて上訴することができる。 i 手続違反 ii 事実誤認 または iii 法の誤り b 有罪とされた人またはその人に…

第82条 その他の裁判に対する上訴 ― Article 82 Appeal against other decisions

① 各当事者は、次に掲げる裁判のいずれに対しても、手続および証拠の規則に従って、上訴することができる。 a 管轄権または許容性に関する裁判 b 捜査または訴追の対象となった人の釈放を許可しまたは拒否する裁判 c 第56条第3項に従って職権で行なった予審…

第83条 上訴の手続 ― Article 83 Proceedings on appeal

① 第81条および本条に基づく手続に関して、上訴部は、公判部の権限をすべてもつ。 ② 上訴部は、上訴された手続が不公正であって、判決もしくは量刑の信頼性に影響し、または上訴された判決もしくは量刑が事実誤認もしくは法の誤り、手続違反によって実質的な…

第84条 有罪判決または量刑の再審 ― Article 84 Revision of conviction or sentence

① 有罪とされた人、または、その死後においては、配偶者、子、親もしくは、再審の申立てをする旨の被告人の書面による明示的な指示を受けていた人であって、被告人の死に際して生存している人1人、または被告人に代わって検察官は、次に掲げる理由に基づいて…