第17条 受理許容性の問題 ―Article 17 Issues of admissibility

1 裁判所は、前文の第十段落及び第一条の規定を考慮した上で、次の場合には、事件を受理しないことを決定する。
 (a) 当該事件がそれについての管轄権を有する国によって現に捜査され、又は訴追されている場合.ただし、当該国にその捜査又は訴追を真に行う意思又は能力がない場合は、この限りでない。
 (b) 当該事件がそれについての管轄権を有する国によって既に捜査され、かつ、当該国が被疑者を訴追しないことを決定している場合。ただし、その決定が当該国に訴追を真に行う意思又は能力がないことに起因する場合は、この限りでない。
 (c) 被疑者が訴えの対象となる行為について既に裁判を受けており、かつ、第二十条3の規定により裁判所による裁判が認められない場合
 (d) 当該事件が裁判所による新たな措置を正当化する十分な重大性を有しない場合

2 裁判所は、特定の事件において捜査又は訴追を真に行う意思がないことを判定するため、国際法の認める適正な手続の原則を考慮した上で、妥当な場合には、次の一又は二以上のことが存在するか否かを検討する。
 (a) 第五条に規定する裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪についての刑事責任から被疑者を免れさせるために手続が行われた若しくは行われていること又はそのために国の決定が行われたこと。
 (b) その時の状況において被疑者を裁判に付する意図に反する手続上の不当な遅延があったこと。
 (c) 手続が、独立して又は公平に行われなかった又は行われておらず、かつ、その状況において被疑者を裁判に付する意図に反する方法で行われた又は行われていること。

3 裁判所は、特定の事件において捜査又は訴追を真に行う能力がないことを判定するため、国が自国の司法制度の完全又は実質的な崩壊又は欠如のために、被疑者を確保し、若しくは必要な証拠及び証言を取得することができないか否か又はその他の理由から手続を行うことができないか否かを検討する。

1. Having regard to paragraph 10 of the Preamble and article 1, the Court shall determine that a case is inadmissible where:

(a) The case is being investigated or prosecuted by a State which has jurisdiction over it, unless the State is unwilling or unable genuinely to carry out the investigation or prosecution;

(b) The case has been investigated by a State which has jurisdiction over it and the State has decided not to prosecute the person concerned, unless the decision resulted from the unwillingness or inability of the State genuinely to prosecute;

(c) The person concerned has already been tried for conduct which is the subject of the complaint, and a trial by the Court is not permitted under article 20, paragraph 3;

(d) The case is not of sufficient gravity to justify further action by the Court.

2. In order to determine unwillingness in a particular case, the Court shall consider, having regard to the principles of due process recognized by international law, whether one or more of the following exist, as applicable:

(a) The proceedings were or are being undertaken or the national decision was made for the purpose of shielding the person concerned from criminal responsibility for crimes within the jurisdiction of the Court referred to in article 5;

(b) There has been an unjustified delay in the proceedings which in the circumstances is inconsistent with an intent to bring the person concerned to justice;

(c) The proceedings were not or are not being conducted independently or impartially, and they were or are being conducted in a manner which, in the circumstances, is inconsistent with an intent to bring the person concerned to justice.

3. In order to determine inability in a particular case, the Court shall consider whether, due to a total or substantial collapse or unavailability of its national judicial system, the State is unable to obtain the accused or the necessary evidence and testimony or otherwise unable to carry out its proceedings.

 ① 前文第10節および第1条に関して、本裁判所は、次に掲げる場合、事件が許容されないと決定する。
  a 事件が、これについて裁判権を有する国によって捜査または訴追されている場合。ただし、その国が捜査または訴追を行なう真の意思または能力を有しない場合はこの限りでない。
  b 事件が、これについて裁判権を有する国によって捜査または訴追されている場合であって、その国が関係者を訴追しないと決定したとき。ただし、この決定が訴追を行なう真の意思または能力がないことに起因する場合はこの限りでない。
  c 関係人がすでに、告訴の対象となる行為について裁判を受けたことがある場合であって、本裁判所の裁判が第20条第3項に従って許されないとき。
  d 事件が本裁判所によってさらに取りあげるのに十分な程度重大なものではない場合。
 ② 特定の事件における意思の欠如を判定するために、本裁判所は、国際法で認める適正手続の原則に照らして、次に掲げる事情の1またはそれ以上が存在するかどうか考慮する。
  a 第5条に定める本裁判所の管轄権に属する犯罪について、関係人の刑事責任を免れさせる目的で、手続が進められもしくは進められており、または国内の決定がなされた場合
  b 手続上の不当な遅延があり、当該事情において関係人を裁判にかける意図と合致しない場合
  c 手続が独立かつ公正に行なわれず、または行なわれていない場合であって、当該事情において関係人を裁判にかける意図と合致しないやり方で、手続が進められてきたときまたは手続が進められているとき
 ③ 特定の事件において能力の欠如を判定するために、本裁判所は、国内の裁判制度がまったくもしくは実質的に崩壊し、または利用できない状態にあるため、当該国が被告もしくは証拠および証言を得ることができないかどうか、またはその他手続を実行しない状態にあるかどうかを検討しなければならない。