条約締結情報 3月20日更新
国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件
平成19年 3月20日、衆議院 外務委員会付託にされました。
(衆議院委員会経過)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/16611166001.htm
条文正訳公開:国際刑事裁判所に関するローマ規程
外務省HPに国際刑事裁判所に関するローマ規程の
和文テキスト(正文)(PDF)と
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty166_1.pdf
説明書(PDF)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty166_1se.pdf
が公開されました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty166_1.html
随時、和文を直していきます。
前文 ― PREAMBLE
この規程の締約国は、
すべての人民が共通のきずなで結ばれており、その文化が共有された遺産によって継ぎ合わされていることを意識し、また、この繊細な継ぎ合わされたものがいつでも粉々になり得ることを懸念し、
二十世紀の間に多数の児童、女性及び男性が人類の良心に深く衝撃を与える想像を絶する残虐な行為の犠牲者となってきたことに留意し、
このような重大な犯罪が世界の平和、安全及び福祉を脅かすことを認識し、
国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪が処罰されずに済まされてはならないこと並びにそのような犯罪に対する効果的な訴追が国内的な措置をとり、及び国際協力を強化することによって確保されなければならないことを確認し、
これらの犯罪を行った者が処罰を免れることを終わらせ、もってそのような犯罪の防止に貢献することを決意し、
国際的な犯罪について責任を有する者に対して刑事裁判権を行使することがすべての国家の責務であることを想起し、
国際連合憲章の目的及び原則並びに特に、すべての国が、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならないことを再確認し、
これに関連して、この規程のいかなる規定も、いずれかの国の武力紛争又は国内問題に干渉する権限を締約国に与えるものと解してはならないことを強調し、
これらの目的のため並びに現在及び将来の世代のために、国際連合及びその関連機関と連携関係を有し、
国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪についての管轄権を有する独立した常設の国際刑事裁判所を設立することを決意し、
この規程に基づいて設立する国際刑事裁判所が国家の刑事裁判権を補完するものであることを強調し、
国際正義の永続的な尊重及び実現を保障することを決意して、
次のとおり協定した。
The States Parties to this Statute,
Conscious that all peoples are united by common bonds, their cultures pieced together in a shared heritage, and concerned that this delicate mosaic may be shattered at any time,
Mindful that during this century millions of children, women and men have been victims of unimaginable trocities that deeply shock the conscience of humanity,
Recognizing that such grave crimes threaten the peace, security and well-being of the world,
Affirming that the most serious crimes of concern to the international community as a whole must not go unpunished and that their effective prosecution must be ensured by taking measures at the national level and by enhancing international cooperation,
Determined to put an end to impunity for the perpetrators of these crimes and thus to contribute to the prevention of such crimes,
Recalling that it is the duty of every State to exercise its criminal jurisdiction over those responsible for international crimes,
Reaffirming the Purposes and Principles of the Charter of the United Nations, and in particular that all States shall refrain from the threat or use of force against the territorial integrity or political independence of any State, or in any other manner inconsistent with the Purposes of the United Nations,
Emphasizing in this connection that nothing in this Statute shall be taken as authorizing any State Party to intervene in an armed conflict or in the internal affairs of any State,
Determined to these ends and for the sake of present and future generations, to establish an independent permanent International Criminal Court in relationship with the United Nations system, with jurisdiction over the most serious crimes of concern to the international community as a whole,
Emphasizing that the International Criminal Court established under this Statute shall be complementary to national criminal jurisdictions,
Resolved to guarantee lasting respect for and the enforcement of international justice,
Have agreed as follows:
すべての人民が共通の紐帯によって結びつけられており、それぞれの文化が共通の遺産としてひとつなぎになっていることを認識し、かつ、このような微妙なつづれ模様がいつでも崩れるおそれがあることを心して、
今世紀において、数百万の子どもおよび男女が想像を絶する残虐な行為の犠牲になり、人類の良心に深い衝撃を与えていることに留意し、
このような重大な犯罪が世界の平和と安全および福祉を脅かすものであることを認識し、
国際社会全体にとって懸念の対象となっている最も重大な犯罪を処罰しないで放置するべきではなく、それに対する効果的な訴追が国内における措置や国際協力の向上によって確保されるべきであることを是認し、
これらの犯罪の実行犯を不処罰のままに放置しておく状態を終了させ、こうしてこのような犯罪の予防に寄与することを決意し、
国際犯罪について責任ある人に対する刑事裁判権を行使することがすべての国家の責務であることを想起し、
国際連合憲章の目的および原理を再確認し、とりわけあらゆる国家がいかなる国家の領域の保全もしくは政治的独立に対して行なう武力による威嚇もしくは武力の行使または国際連合憲章の目的に合致しないその他のやり方で行なう武力による威嚇もしくは武力の行使を抑制すべきであることを再確認して、
この関連で、本規程のいかなるものも、いずれの国家の内政上の武力紛争に対するいずれの締約国の介入をも容認するものととられてはならないことを強調して、
これらの目的ならびに現在および将来の世代のために、国際連合制度との関連において、国際社会全体にとって懸念となっている最も重大な犯罪に対する管轄権をもつ、独立した常設の国際刑事裁判所を設立することを決意し、
本規程のもとに設立される国際刑事裁判所が国内刑事裁判権を補完するべきものであることを強調し、
国際正義の実施への永続的な尊重を保証することを決意して、
以下の通り合意に達した。
第1条 裁判所 ― Article 1 The Court
この規程により国際刑事裁判所(以下「裁判所」という。) を設立する。裁判所は、常設機関とし、この規程に定める国際的な関心事である最も重大な犯罪を行った者に対して管轄権を行使する権限を有し、及び国家の刑事裁判権を補完する。裁判所の管轄権及び任務については、この規程によって規律する。
An International Criminal Court ("the Court") is hereby established. It shall be a permanent institution and shall have the power to exercise its jurisdiction over persons for the most serious crimes of international concern, as referred to in this Statute, and shall be complementary to national criminal jurisdictions. The jurisdiction and functioning of the Court shall be governed by the provisions of this Statute.
国際刑事裁判所(以下、本裁判所という。)を次の通り設立する。本裁判所は、常設機関であって、本規程にいう国際的な関心の対象となる最も重大な犯罪に関して人について裁判を行なう権限を有し、国内刑事裁判権を補完するものとする。本裁判所の管轄権および役割は、本規程の条項によって定める。