2004-01-01から1年間の記事一覧

前文 ― PREAMBLE

この規程の締約国は、 すべての人民が共通のきずなで結ばれており、その文化が共有された遺産によって継ぎ合わされていることを意識し、また、この繊細な継ぎ合わされたものがいつでも粉々になり得ることを懸念し、 二十世紀の間に多数の児童、女性及び男性…

第1条 裁判所 ― Article 1 The Court

この規程により国際刑事裁判所(以下「裁判所」という。) を設立する。裁判所は、常設機関とし、この規程に定める国際的な関心事である最も重大な犯罪を行った者に対して管轄権を行使する権限を有し、及び国家の刑事裁判権を補完する。裁判所の管轄権及び任…

第2条 裁判所と国際連合との連携関係 ― Article 2 Relationship of the Court with the United Nations

裁判所は、この規程の締約国会議が承認し、及びその後裁判所のために裁判所長が締結する協定によって国際連合と連携関係をもつ。 The Court shall be brought into relationship with the United Nations through an agreement to be approved by the Assemb…

第3条 裁判所の所在地 ― Article 3 Seat of the Court

1 裁判所の所在地は、オランダ (以下「接受国」という。)のハーグとする。 2 裁判所は、接受国と本部協定を結ぶ。この協定は、締約国会議が承認し、その後裁判所のために裁判所長が締結する。 3 裁判所は、この規程に定めるところにより、裁判所が望ましい…

第4条 裁判所の法的地位及び権限 ― Article 4 Legal status and powers of the Court

1 裁判所は、国際法上の法人格を有する。また、裁判所は、任務の遂行及び目的の達成に必要な法律上の能力を有する。 2 裁判所は、この規程に定めるところによりいずれの締約国の領域においても、及び特別の合意によりその他のいずれの国の領域においても、任…

第5条 裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪 ― Article 5 Crimes within the jurisdiction of the Court

1 裁判所の管轄権は、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪に限定する。裁判所は、この規程に基づき次の犯罪について管轄権を有する。 (a) 集団殺害犯罪 (b) 人道に対する犯罪 (c) 戦争犯罪 (d) 侵略犯罪 2 (削除) 1. The jurisdiction of the Court …

第6条 集団殺害犯罪 ― Article 6 Genocide

この規程の適用上、「集団殺害犯罪」 とは、国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次のいずれかの行為をいう。 (a) 当該集団の構成員を殺害すること。 (b) 当該集団の構成員の身体又は精神に…

第7条 人道に対する犯罪 ―Article 7 Crimes against humanity

1 この規程の適用上、「人道に対する犯罪」とは、文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う次のいずれかの行為をいう。 (a) 殺人 (b) 絶滅させる行為 (c) 奴隷化すること。 (d) 住民の追放…

第8条 戦争犯罪 ―Article 8 War crimes

1 裁判所は、戦争犯罪、特に、計画若しくは政策の一部として又は大規模に行われたそのような犯罪の一部として行われるものについて管轄権を有する。 2 この規程の適用上、「戦争犯罪」とは、次の行為をいう。 (a)千九百四十九年八月十二日のジュネ-ヴ諸条約…

第9条 犯罪の構成要件に関する文書 ―Article 9 Elements of Crimes

1 裁判所は、前三条の規定の解釈及び適用に当たり、犯罪の構成要件に関する文書を参考とする。犯罪の構成要件に関する文書は、締約国会議の構成国の三分の二以上の多数による議決で採択される。2 犯罪の構成要件に関する文書の改正は、次の者が提案すること…

第10条 ― Article 10

この部のいかなる規定も、この規程の目的以外の目的のために現行の又は発展する国際法の規則を制限し、又はその適用を妨げるものと解してはならない。 Nothing in this Part shall be interpreted as limiting or prejudicing in any way existing or develo…

第11条 時間についての管轄権 ―Article 11 Jurisdiction ratione temporis

1 裁判所は、この規程が効力を生じた後に行われる犯罪についてのみ管轄権を有する。 2 いずれかの国がこの規程が効力を生じた後にこの規程の締約国となる場合には、裁判所は、この規程が当該国について効力を生じた後に行われる犯罪についてのみ管轄権を行使…

第12条 管轄権を行使する前提条件 ―Article 12 Preconditions to the exercise of jurisdiction

1 この規程の締約国となる国は、第五条に規定する犯罪についての裁判所の管轄権を受諾する。 2 裁判所は、次条(a)又は(c)に規定する場合において、次の(a)又は(b)に掲げる国の一又は二以上がこの規程の締約国であるとき又は3の規定に従い裁判所の管轄権を受…

第13条 管轄権の行使 ―Article 13 Exercise of jurisdiction

裁判所は、次の場合において、この規程に基づき、第五条に規定する犯罪について管轄権を行使することができる。 (a) 締約国が次条の規定に従い、これらの犯罪の一又は二以上が行われたと考えられる事態を検察官に付託する場合 (b) 国際連合憲章第七章の規定…

第14条 締約国による事態の付託 ―Article 14 Referral of a situation by a State Party

1 締約国は、裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪の一又は二以上が行われたと考えられる事態を検察官に付託することができるものとし、これにより、検察官に対し、そのような犯罪を行ったことについて一人又は二人以上の特定の者が訴追されるべきか否かを決定…

第15条 検察官 ―Article 15 Prosecutor

1 検察官は、裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪に関する情報に基づき自己の発意により捜査に着手することができる。 2 検察官は、取得した情報の重大性を分析する。このため、検察官は、国、国際連合の諸機関、政府間機関、非政府機関その他の自己が適当と認…

第16条 捜査または訴追の付託 ―Article 16 Deferral of investigation or prosecution

いかなる捜査又は訴追についても、安全保障理事会が国際連合憲章第七章の規定に基づいて採択した決議により裁判所に対してこれらを開始せず、又は続行しないことを要請した後十二箇月の間、この規程に基づいて開始し、又は続行することができない。安全保障…

第17条 受理許容性の問題 ―Article 17 Issues of admissibility

1 裁判所は、前文の第十段落及び第一条の規定を考慮した上で、次の場合には、事件を受理しないことを決定する。 (a) 当該事件がそれについての管轄権を有する国によって現に捜査され、又は訴追されている場合.ただし、当該国にその捜査又は訴追を真に行う意…

第18条 受理許容性についての予備的な決定 ―Article 18 Preliminary rulings regarding admissibility

1 検察官は、事態が第十三条(a)の規定に従って裁判所に付託されており、かつ、捜査を開始する合理的な基礎があると決定している場合又は同条(c)及び第十五条の規定に従って捜査に着手する場合には、すべての締約国及び利用可能な情報を考慮して問題となる犯…

第19条 裁判所の管轄権又は事件の受理許容性についての異議の申立て ―Article 19 Challenges to the jurisdiction of the Court or the admissibility of a case

1 裁判所は、提起された事件について管轄権を有することを確認する。裁判所は、職権により第十七条の規定に従って事件の受理許容性を決定することができる。2 裁判所の管轄権についての異議の申立て又は第十七条の規定を理由とする事件の受理許容性について…

第20条 一事不再理 ―Article 20 Ne bis in idem

1 いかなる者も、この規程に定める場合を除くほか、自己が裁判所によって既に有z罪又は無罪の判決を受けた犯罪の基礎を構成する行為について裁判所によって裁判されることはない。2 いかなる者も、自己が裁判所によって既に有罪又は無罪の判決を受けた第五条…

第21条 適用法 ―Article 21 Applicable law

1 裁判所は、次のものを適用する。 (a) 第一に、この規程、犯罪の構成要件に関する文書及び手続及び証拠に関する規則 (b) 第二に、適当な場合には、適用される条約並びに国際法の原則及び規則(確立された武力紛争に関する国際法の原則を含む。) (c) (a)及び(…

第22条 「法なくして犯罪なし」 ―Article 22 Nullum crimen sine lege

1 いずれの者も、問題となる行為が当該行為の発生した時において裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を構成しない限り、この規程に基づく刑事上の責任を有しない。2 犯罪の定義については、厳格に解釈するものとし、類推によって拡大してはならない。あいまい…

第23条 「法なくして刑罰なし」 ―Article 23 Nulla poena sine lege

裁判所によって有罪の判決を受けた者については、この規程に従ってのみ処罰することができる。 A person convicted by the Court may be punished only in accordance with this Statute. いかなる人も、本裁判所によって有罪とされた場合に、本規程と合致す…

第24条 人に関する不遡及 ―Article 24 Non-retroactivity ratione personae

1 いかなる者も、この規程が効力を生ずる前の行為についてこの規程に基づく刑事上の責任を有しない。2 確定判決の前にその事件に適用される法に変更がある場合には、捜査され、訴追され、又は有罪の判汝を受ける者に一層有利な法が適用される。 1. No person…

第25条 個人の刑事責任 ―Article 25 Individual criminal responsibility

1 裁判所は、この規程に基づき自然人について管轄権を有する。2 裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を行った者は、この規程により、個人として責任を有し、かつ、刑罰を科される。3 いずれの者も、次の行為を行った場合には、この規程により、裁判所の管轄権…

第26条 十八歳未満の者についての管轄権の除外 ―Article 26 Exclusion of jurisdiction over persons under eighteen

裁判所は、犯罪を実行したとされる時に十八歳未満であった者について管轄権を有しない。 The Court shall have no jurisdiction over any person who was under the age of 18 at the time of the alleged commission of a crime. 本裁判所は、犯罪の実行の…

第27条 公的資格の無関係 ―Article 27 Irrelevance of official capacity

1 この規程は、公的資格に基づくいかなる区別もなく、すべての者についてひとしく適用する。特に、元首、政府の長、政府若しくは議会の一員、選出された代表又は政府職員としての公的資格は、いかなる場合にも個人をこの規程に基づく刑事責任から免れさせる…

第28条 指揮官その他の上官の責任 ―Article 28 Responsibility of commanders and other superiors

裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪についての刑事責任であってこの規程に定める他の事由に基づくものほか、 (a) 軍の指揮官又は実質的に軍の指揮官として行動する者は、その実質的な指揮及び管理の下にあり、又は状況に応じて実質的な権限及び管理の下にある…

第29条 出訴期限の不適用 ―Article 29 Non-applicability of statute of limitations

裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪は、出訴期限の対象とならない。 The crimes within the jurisdiction of the Court shall not be subject to any statute of limitations. 本裁判所の管轄権に属する犯罪は、いかなる消減時効または出訴期限にも服さない。