第9部 国際協力および司法共助 ― PART 9. INTERNATIONAL COOPERATION AND JUDICIAL ASSISTANCE

第86条 協力の一般的義務 ― Article 86 General obligation to cooperate

締約国は、本規程の規定に従って、本裁判所の管轄権に属する犯罪の捜査および訴追について、本裁判所に十分に協力しなければならない。 States Parties shall, in accordance with the provisions of this Statute, cooperate fully with the Court in its i…

第87条 協力の要請―一般規定 ― Article 87 Requests for cooperation: general provisions

①a 本裁判所は、締約国に対し、協力を要請する権限をもつ。この要諦は、外交経路または締約国が批准、受諾、容認または加入に際して指定したその他の適切な経絡を通じて伝達しなければならない。 この指定を後に変更する場合、各締約国は、手続および証拠の…

第88条 国内法に基づく手続の利用 ― Article 88 Availability of procedures under national law

締約国は、本規程第9部に定める協力形態のあらゆる場合について、国内法に基づいて、手続を利用できるように確保しなければならない。 States Parties shall ensure that there are procedures available under their national law for all of the forms of …

第89条 裁判所への人の引渡し ― Article 89 Surrender of persons to the Court

① 本裁判所は、いかなる国に対しても、その領域内において要請にかかる人を発見しうる場合には、第91条に定める要請の根拠となる資料とともに、その人の逮捕または引渡しの要請を送付することができ、かつ、その人の逮捕または引渡しに際して、当該国に対し…

第90条 要請の競合 ― Article 90 Competing requests

① 第89条に基づく引渡しの要請を本裁判所から受けた締約国は、同一人について、かつ、本裁判所か引渡しを求める根拠となる犯罪にあたる同一の行為について、他の国から犯罪人引渡しの要請を受けていた場合、その事実を本裁判所および要請した国に対して通告…

第91条 逮捕および引渡しの要請の内容 ― Article 91 Contents of request for arrest and surrender

① 逮捕および引渡しの要請は、書面をもって行なわれなければならない。緊急を要する場合、要請は、書面の記録を送付することができる媒体によって、第87条第1項第a号に定める経絡をもって、確認しなければならない。 ④ 第58条に基づき予審部が逮捕状を発した…

第92条 仮の逮捕 ― Article 92 Provisional

① 緊急を要する場合、本裁判所は、第91条に定める引渡しの要請およびこの要請を裏付ける文書を提出するまで、探索を受けている人について仮の逮捕を要請することができる。 ② 仮の逮捕の要請は、書面の記録を送付することができる媒体によってなされ、かつ、…

第93条 他の形式における協力 ― Article 93 Other forms of cooperation

① 締約国は、本部の規定および国内法の手続に従って、捜査または訴追に関して次に掲げる援助を提供するよう求める本裁判所の要請に従わなくてはならない。 a 人の同一性および所在または証拠物の所在の確認 b 宣誓に基づく証言を含む、証拠の収集、ならびに…

第94条 捜査または訴追の継続中であることによる要請の執行の延期 ― Article 94 Postponement of execution of a request in respect of ongoing investigation or prosecution

① 要請を直ちに実施することによって、要請にかかわる事件とは異なる事件について進行中である捜査または訴追を妨げるおそれがある場合、要請を受けた国は、本裁判所と同意した期間、その要請の執行を延期することができる。ただし、この延期は、要請を受け…

第95条 許容性の異義に関わる要請の執行の延期 ― Article 95 Postponement of execution of a request in respect of an admissibility challenge

第18条または第19条に従い本裁判所が許容性に関する異議申立てを検討する場命、要請を受けた国は、本規程第9部の規定に従って本裁判所による決定が出るまで、要請の執行を延期することができる。本裁判所が特別に、検察官に対し、第18条または第19条に従って…

第96条 第93条に基づく他の形態の援助に関する要請の内容 ― Article 96 Contents of request for other forms of assistance under article 93

① 第93条にいう他の形態の協力についての要請は、書面をもって行なわなければならない。 緊急を要する場合、この要請は、第87条第1項第a号に定める経路を通じて裏付けされるとき、書面による記録を伝達することができる媒介を通じてすることができる。 ② 前…

第97条 協議 ― Article 97 Consultations

締約国が本規程第9部に基づいて要請を受理し、要請の執行を遅延させまたは妨げる問題のあることを確認する場合、その締約国は、この問題を解決するため、遅滞なく本裁判所と協議しなければならない。そのような間題には、特に次に掲げるものを含めることがで…

第98条 免責の放棄および引渡しへの同意に関する協力 ― Article 98 Cooperation with respect to waiver of immunity and consent to surrender

① 本裁判所は、要請を受けた国に対し、国際法に基づくその国の義務または第三国の人もしくは財産の外交官免責と両立しない行為を求めることになる引渡しまたは援助の要請を行なうことはできない。ただし、本裁判所が外交官免責の放棄についてその第三国の協…

第99条 第93条および第96条に基づく要請の執行 ― Article 99 Execution of requests under articles 93 and 96

① 援助の要請は、要請を受けた国の法律に基づく関連手続に従って執行されなければならず、かつ、その国の法律によって禁止されていない限り、そこに記された手続に従い、または、この要請において特定された人を執行手続に立ち会わせもしくは補助することを…

第100条 費用 ― Article 100 Costs

① 要諦を受けた国の領域内における要請の執行に要する通常の費用は、その国が負担しなければならない。ただし、次に掲げる場合には、その費用は本裁判所が負担する。 a 証人および鑑定人の旅費および安全保障または第93条に基づき拘束されている人の移送に関…

第101条 特定性の原則 ― Article 101 Rule of speciality

① 本規程に従って本裁判所に引き渡された人は、その人が引渡しの前にした行為のゆえに、その人が引渡しの対象となった犯罪の根絶となる行為を除き、手続を開始され、処罰され、または拘禁されてはならない。 ② 本裁判所は、本裁判所に人を引き渡す国による本…

第102条 用語の使用 ― Article 102 Use of terms

本規程の目的のために、 a 「引渡し」とは、本規程に従ってある国から本裁判所にある人を移送することを意味する。 b 「犯罪人引渡し」とは、条約、協定または国内法によって定めるように、ある国から他国にある人を移送することを意味する。 For the purpos…