2004-01-01から1年間の記事一覧

第30条 主観的な要素 ―Article 30 Mental element

1 いずれの者も、別段の定めがある場合を除くほか、故意に及び認識して客観的な要素を実行する場合にのみ、裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪について刑事上の責任を有し、かつ、刑罰を科される。2 この条の規定の適用上、次の場合には、個人に故意があるも…

第31条 刑事責任を免除する事由 ―Article 31 Grounds for excluding criminal responsibility

① 本規程に定める刑事責任を免除する他の事由に加えて、行動の時において、次に掲げる場合に当たるときは、その人の刑事責任はない。 a その人が、自己の行為の違法性もしくは性質を評価する人の能力または法の要求に従う自己の行動を制御する能力を破壊する…

第32条 事実の錯誤および法の錯誤―Article 32 Mistake of fact or mistake of law

① 事実の錯誤は、それが犯罪によって必要とされる主観的要素を否定する場合に限り、刑事責任を免除する事由とする。 ② 特定の行為が本裁判所の管轄権に属する犯罪であるかどうかについての法の錯誤は、刑事責任を免除する事由とされない。ただし、法の錯誤は…

第33条 上官の命令および法の命令―Article 33 Superior orders and prescription of law

① 本裁判所の管轄に属する犯罪が、政府または軍民を問わず上官の命令に従って、行われた場合、行為者の刑事責任は、次に掲げる場合でなければ、免除されない。 a その人が、政府または当該上官の命令に従う法的な義務を負っていた場合であって、 b その人…

第34条 裁判所の機関―Article 34 Organs of the Court

本裁判所は、次にかかげる機関によって構成する。 a 統括部 b 上訴部、公判部および予審部 c 検察局 d 書記局 The Court shall be composed of the following organs:(a) The Presidency;(b) An Appeals Division, a Trial Division and a Pre-Trial Div…

第35条 裁判官の任務―Article 35 Service of judges

① あらゆる裁判官は、本裁判所の全日勤務の構成員として選出され、かつ、その職務の開始からこれに基づき勤務することが可能とされなければならない。 ② 統括部を構成する裁判官は、選出され次第、全日勤務に基づき勤務する。 ③ 統括部は、本裁判所の仕事量…

第36条 裁判官の資格、任命および選出 ーArticle 36 Qualifications, nomination and election of judges

① 本条第2項に従って、本裁判所に18名の裁判官を置く。 ②a 統括部は、本裁判所のために活動し、必要かつ適切と考えられる理由を示して、第1項に定める裁判官の人数の増加を提案することができる。書記官は、このような提案のいずれをも、直ちに、すべての締…

第37条 欠員 ―Article 37 Judicial vacancies

① 欠員が生じた場合、第36条に従い、欠員を補充するために選出を行なう。 ② 欠員を補充するために選出された裁判官は、先任者の任期の残りの期間について勤務し、その期間が3年以下である場合には、第36条に従い、完全な任期について再任される。 1. In the …

第38条 統括部 ―Article 38 The Presidency

① 裁判所長ならびに第1副所長および第2副所長は、裁判官の絶対的多数によって選出する。 これらの人はそれぞれ、3年の任期またはその裁判官としての任期の終わりまで、勤務する。これらの人は、1度に限り再任される。 ② 第1副所長は、裁判所長が不在の時また…

第39条 部 ―Article 39 Chambers

① 裁判官の選出が終了した後、できるだけすみやかに、本裁判所は、第34条第b項に定める局を構成しなければならない。上訴局は、裁判所長およびその他4名の裁判官によって構成し、公判局は、6名以上の裁判官によって構成し、予審局は、6名以上の裁判官によっ…

第40条 裁判官の独立 ―Article 40 Independence of the judges

① 裁判官は、その職務の執行にあたって、独立でなければならない。 ② 裁判官は、その司法の職務と抵触しまたはその独立性に対する信頼を損なうおそれのある活動にかかわってはならない。 ③ 裁判官は、本裁判所の職務に全日勤務に基づいて務めることを要求さ…

第41条 裁判官の回避および除斥 ―Article 41 Excusing and disqualification of judges

① 統括部は、裁判官の請求に基づき、手続および証拠の規則に従って、本規程に基づく職務の執行を免除することができる。 ②a 裁判官は、いかなる理由からも、その公平性に対する合理的な疑いを生じさせうる事件に関与してはならない。裁判官は、いかなる資格…

第42条 検察官の職務 ―Article 42 The Office of the Prosecutor

① 検察局は、本裁判所の別個の機関として、独立して職務を執行しなければならない。検察局は、本裁判所の管轄権に属する犯罪について、申立てまたは裏付けのあるいかなる情報も受理する責任を負う。検察局の構成員は、いかなる外部からの指示を求め、または…

第43条 書記局 ―Article 43 The Registry

① 書記局は、本裁判所の運営および業務のうち裁判作用にかかわらない面について責任を負う。ただし、第42条に従って検察官の職務および権限を妨げることはできない。 ② 書記局は、本裁判所の主要な行政官である書記官を長とする。書記官は、本裁判所の所長の…

第44条 職員 ―Article 44 Staff

① 検察官および書記官は、それぞれの職務に必要とされる資格のある職員を指名する。検察官に関して、捜査官の指名を含まなければならない。 ② 職員の雇用において、検察官および書記官は、最も高い水準での効率性、能力および廉潔性を確保し、第36条第8項に…

第45条 宣誓 ―Article 45 Solemn undertaking

本規程においてそれぞれの職責を果たす前に、裁判官、検察官.検察官補佐、書記官および書記官補佐はそれぞれ、みずからの職務を公平かつ誠実に行なうことを、公開の法廷において、宣誓しなければならない。 Before taking up their respective duties under …

第46条 罷免 ―Article 46 Removal from office

① 裁判官、検察官、検察官補佐、書記官または書記官補佐は、次に掲げる場合、本条第2項に従って、決定があったときは、罷免される。 a 手続および証拠の規則に従って、重大な不正を行ない、または、本規程に基づく自らの職責の著しい違反を行なった場合。 b …

第47条 懲戒の措置 ―Article 47 Disciplinary measures

裁判官、検察官、検察官補佐、書記官または書記官補佐は、第46条第1項に定める場合よりも軽い不正を行なったときには、手続および証拠の規則に従って、懲戒の措置に服しなければならない。 A judge, Prosecutor, Deputy Prosecutor, Registrar or Deputy Reg…

第48条 特権および免責 ―Article 48 Privileges and immunities

① 本裁判所は、それぞれの締約国の領域内において、その目的を達成するのに必要な特権および免責を享受する。 ② 裁判官、検察官、検察官補佐および書記官は、本裁判所の業務に関与している場合または本裁判所の業務に関して、外交使節の長に与えられるのと同…

第49条 俸給、手当および経費 ―Article 49 Salaries, allowances and expenses

裁判官、検察官、検察官補佐、書記官および書記官補佐は、締約国会議によって決定された俸給、手当および経費を受ける。これらの俸給および手当は、その任期中、滅額されてはならない。 The judges, the Prosecutor, the Deputy Prosecutors, the Registrar …

第50条 公用語および作業言語 ―Article 50 Official and working languages

① 本裁判所の公用語は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語およびスペイン語とする。本裁判所の判決および本裁判所に係属する基本的な問題を解決するその他の決定は、公用語で刊行されなければならない。統括部は、手続および証拠の規則に定め…

第51条 手続および証拠の規則 ―Article 51 Rules of Procedure and Evidence

① 手続および証拠の規則は、締約国会議が構成国の3分の2の多数によって採択し、ただちに発効する。 ② 手続および証拠の規則の改正は、次に掲げる人によって、提案することができる。 a 締約国のいずれか b 絶対的多数による裁判官、または c 検察官。 この改…

第52条 本裁判所の規則 ―Article 52 Regulations of the Court

① 裁判官は、本規程ならびに手紙および証拠の規則に従って、絶対的多数をもって、本裁判所の日常的な職務にとって必要な規則を採択する。 ② 検察官および書記官は、この規則の制定および改正について、協議する。 ③ この規則および改正規則は、裁判官が別に…

第53条 捜査の端緒 ―Article 53 Initiation of an investigation

① 検察官は、利用できる情報を評価して、捜査を開始しなければならない。ただし、本規程に従って手続を進める合理的な理由がないと判断する場合はこの限りでない。捜査を開始するかどうかを決定するにあたって、検察官は、次に掲げる事情を考慮しなければな…

第54条 検察官の捜査に関する義務および権限 ―Article 54 Duties and powers of the Prosecutor with respect to investigations

① 検察官は、次に掲げることをしなければならない。 a 真実を立証するため、本規程に照らして刑事責任があるかどうかについて判断するのに関連するあらゆる事実および証拠を収集するよう捜査し、かつ、その場合において、犯罪にあたる事情と免責にあたる事情…

第55条 捜査中における人の権利 ―Article 55 Rights of persons during an investigation

① 本規程に基づく捜査に関して、次に掲げる事項の通りとする。 a 自ら罪を負い、または有罪であると自白することを強制されてはならない。 b いかなる形態の強制、威迫もしくは脅迫の対象とされ、または、拷問その他の残虐で、非人間的もしくは品位をおとし…

第56条 唯一の捜査機会に関する予審部の役割 ―Article 56 Role of the Pre-Trial Chamber in relation to a unique investigative opportunity

①a 検察官は、捜査が証人による証言もしくは供述を得て、または、証拠を検討し、収集しもしくは検査するための唯一の機会であると考える場合であって、後になっては裁判の目的のためにこれを利用できないときは、予審部にその旨通知しなければならない。 b …

第57条 予審部の職務および権限 ―Article 57 Functions and powers of the Pre-Trial Chamber

① 予審部は、本条の規定に従ってその職務を行なう。ただし、本規程に別に定める場合はこの限りでない。 ②a 第15条、第18条、第19条、第54条第2項、第61条第7項および第72条に従って発せられた予審部の命令または決定は、その裁判官の多数の一致した意見に基…

第58条 予審部による逮捕状または召喚状の発付 ―Article 58 Issuance by the Pre-Trial Chamber of a warrant of arrest or a summons to appear

① 捜査開始後いつでも、予審部は、検察官の要請に基づいて、検察官の要請および検察官の提出した証拠またはその他の情報を審査した後に、次に掲げる要件を満たす場合は、逮捕状を発しなければならない。 a その人が本裁判所の管轄権に属する犯罪を行なったと…

第59条 身体拘束を行なった国における逮捕 ―Article 59 Arrest proceedings in the custodial State

手続 ① 仮逮捕または逮捕および引渡しの要請を受けた締約国は、自国の法および本規程第9部の規定に従って、当該人を逮捕する手段を直ちにとらなければならない。 ② 逮捕された人は、身体拘束を行なった国の権限ある裁判所の面前に直ちに引致されなければなら…