第25条 個人の刑事責任 ―Article 25 Individual criminal responsibility

1 裁判所は、この規程に基づき自然人について管轄権を有する。2 裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を行った者は、この規程により、個人として責任を有し、かつ、刑罰を科される。3 いずれの者も、次の行為を行った場合には、この規程により、裁判所の管轄権…

第26条 十八歳未満の者についての管轄権の除外 ―Article 26 Exclusion of jurisdiction over persons under eighteen

裁判所は、犯罪を実行したとされる時に十八歳未満であった者について管轄権を有しない。 The Court shall have no jurisdiction over any person who was under the age of 18 at the time of the alleged commission of a crime. 本裁判所は、犯罪の実行の…

第27条 公的資格の無関係 ―Article 27 Irrelevance of official capacity

1 この規程は、公的資格に基づくいかなる区別もなく、すべての者についてひとしく適用する。特に、元首、政府の長、政府若しくは議会の一員、選出された代表又は政府職員としての公的資格は、いかなる場合にも個人をこの規程に基づく刑事責任から免れさせる…

第28条 指揮官その他の上官の責任 ―Article 28 Responsibility of commanders and other superiors

裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪についての刑事責任であってこの規程に定める他の事由に基づくものほか、 (a) 軍の指揮官又は実質的に軍の指揮官として行動する者は、その実質的な指揮及び管理の下にあり、又は状況に応じて実質的な権限及び管理の下にある…

第29条 出訴期限の不適用 ―Article 29 Non-applicability of statute of limitations

裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪は、出訴期限の対象とならない。 The crimes within the jurisdiction of the Court shall not be subject to any statute of limitations. 本裁判所の管轄権に属する犯罪は、いかなる消減時効または出訴期限にも服さない。

第30条 主観的な要素 ―Article 30 Mental element

1 いずれの者も、別段の定めがある場合を除くほか、故意に及び認識して客観的な要素を実行する場合にのみ、裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪について刑事上の責任を有し、かつ、刑罰を科される。2 この条の規定の適用上、次の場合には、個人に故意があるも…

第31条 刑事責任を免除する事由 ―Article 31 Grounds for excluding criminal responsibility

① 本規程に定める刑事責任を免除する他の事由に加えて、行動の時において、次に掲げる場合に当たるときは、その人の刑事責任はない。 a その人が、自己の行為の違法性もしくは性質を評価する人の能力または法の要求に従う自己の行動を制御する能力を破壊する…

第32条 事実の錯誤および法の錯誤―Article 32 Mistake of fact or mistake of law

① 事実の錯誤は、それが犯罪によって必要とされる主観的要素を否定する場合に限り、刑事責任を免除する事由とする。 ② 特定の行為が本裁判所の管轄権に属する犯罪であるかどうかについての法の錯誤は、刑事責任を免除する事由とされない。ただし、法の錯誤は…

第33条 上官の命令および法の命令―Article 33 Superior orders and prescription of law

① 本裁判所の管轄に属する犯罪が、政府または軍民を問わず上官の命令に従って、行われた場合、行為者の刑事責任は、次に掲げる場合でなければ、免除されない。 a その人が、政府または当該上官の命令に従う法的な義務を負っていた場合であって、 b その人…

第34条 裁判所の機関―Article 34 Organs of the Court

本裁判所は、次にかかげる機関によって構成する。 a 統括部 b 上訴部、公判部および予審部 c 検察局 d 書記局 The Court shall be composed of the following organs:(a) The Presidency;(b) An Appeals Division, a Trial Division and a Pre-Trial Div…

第35条 裁判官の任務―Article 35 Service of judges

① あらゆる裁判官は、本裁判所の全日勤務の構成員として選出され、かつ、その職務の開始からこれに基づき勤務することが可能とされなければならない。 ② 統括部を構成する裁判官は、選出され次第、全日勤務に基づき勤務する。 ③ 統括部は、本裁判所の仕事量…

第36条 裁判官の資格、任命および選出 ーArticle 36 Qualifications, nomination and election of judges

① 本条第2項に従って、本裁判所に18名の裁判官を置く。 ②a 統括部は、本裁判所のために活動し、必要かつ適切と考えられる理由を示して、第1項に定める裁判官の人数の増加を提案することができる。書記官は、このような提案のいずれをも、直ちに、すべての締…

第37条 欠員 ―Article 37 Judicial vacancies

① 欠員が生じた場合、第36条に従い、欠員を補充するために選出を行なう。 ② 欠員を補充するために選出された裁判官は、先任者の任期の残りの期間について勤務し、その期間が3年以下である場合には、第36条に従い、完全な任期について再任される。 1. In the …

第38条 統括部 ―Article 38 The Presidency

① 裁判所長ならびに第1副所長および第2副所長は、裁判官の絶対的多数によって選出する。 これらの人はそれぞれ、3年の任期またはその裁判官としての任期の終わりまで、勤務する。これらの人は、1度に限り再任される。 ② 第1副所長は、裁判所長が不在の時また…

第39条 部 ―Article 39 Chambers

① 裁判官の選出が終了した後、できるだけすみやかに、本裁判所は、第34条第b項に定める局を構成しなければならない。上訴局は、裁判所長およびその他4名の裁判官によって構成し、公判局は、6名以上の裁判官によって構成し、予審局は、6名以上の裁判官によっ…

第40条 裁判官の独立 ―Article 40 Independence of the judges

① 裁判官は、その職務の執行にあたって、独立でなければならない。 ② 裁判官は、その司法の職務と抵触しまたはその独立性に対する信頼を損なうおそれのある活動にかかわってはならない。 ③ 裁判官は、本裁判所の職務に全日勤務に基づいて務めることを要求さ…

第41条 裁判官の回避および除斥 ―Article 41 Excusing and disqualification of judges

① 統括部は、裁判官の請求に基づき、手続および証拠の規則に従って、本規程に基づく職務の執行を免除することができる。 ②a 裁判官は、いかなる理由からも、その公平性に対する合理的な疑いを生じさせうる事件に関与してはならない。裁判官は、いかなる資格…

第42条 検察官の職務 ―Article 42 The Office of the Prosecutor

① 検察局は、本裁判所の別個の機関として、独立して職務を執行しなければならない。検察局は、本裁判所の管轄権に属する犯罪について、申立てまたは裏付けのあるいかなる情報も受理する責任を負う。検察局の構成員は、いかなる外部からの指示を求め、または…

第43条 書記局 ―Article 43 The Registry

① 書記局は、本裁判所の運営および業務のうち裁判作用にかかわらない面について責任を負う。ただし、第42条に従って検察官の職務および権限を妨げることはできない。 ② 書記局は、本裁判所の主要な行政官である書記官を長とする。書記官は、本裁判所の所長の…

第44条 職員 ―Article 44 Staff

① 検察官および書記官は、それぞれの職務に必要とされる資格のある職員を指名する。検察官に関して、捜査官の指名を含まなければならない。 ② 職員の雇用において、検察官および書記官は、最も高い水準での効率性、能力および廉潔性を確保し、第36条第8項に…

第45条 宣誓 ―Article 45 Solemn undertaking

本規程においてそれぞれの職責を果たす前に、裁判官、検察官.検察官補佐、書記官および書記官補佐はそれぞれ、みずからの職務を公平かつ誠実に行なうことを、公開の法廷において、宣誓しなければならない。 Before taking up their respective duties under …

第46条 罷免 ―Article 46 Removal from office

① 裁判官、検察官、検察官補佐、書記官または書記官補佐は、次に掲げる場合、本条第2項に従って、決定があったときは、罷免される。 a 手続および証拠の規則に従って、重大な不正を行ない、または、本規程に基づく自らの職責の著しい違反を行なった場合。 b …

第47条 懲戒の措置 ―Article 47 Disciplinary measures

裁判官、検察官、検察官補佐、書記官または書記官補佐は、第46条第1項に定める場合よりも軽い不正を行なったときには、手続および証拠の規則に従って、懲戒の措置に服しなければならない。 A judge, Prosecutor, Deputy Prosecutor, Registrar or Deputy Reg…

第48条 特権および免責 ―Article 48 Privileges and immunities

① 本裁判所は、それぞれの締約国の領域内において、その目的を達成するのに必要な特権および免責を享受する。 ② 裁判官、検察官、検察官補佐および書記官は、本裁判所の業務に関与している場合または本裁判所の業務に関して、外交使節の長に与えられるのと同…

第49条 俸給、手当および経費 ―Article 49 Salaries, allowances and expenses

裁判官、検察官、検察官補佐、書記官および書記官補佐は、締約国会議によって決定された俸給、手当および経費を受ける。これらの俸給および手当は、その任期中、滅額されてはならない。 The judges, the Prosecutor, the Deputy Prosecutors, the Registrar …

第50条 公用語および作業言語 ―Article 50 Official and working languages

① 本裁判所の公用語は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語およびスペイン語とする。本裁判所の判決および本裁判所に係属する基本的な問題を解決するその他の決定は、公用語で刊行されなければならない。統括部は、手続および証拠の規則に定め…

第51条 手続および証拠の規則 ―Article 51 Rules of Procedure and Evidence

① 手続および証拠の規則は、締約国会議が構成国の3分の2の多数によって採択し、ただちに発効する。 ② 手続および証拠の規則の改正は、次に掲げる人によって、提案することができる。 a 締約国のいずれか b 絶対的多数による裁判官、または c 検察官。 この改…

第52条 本裁判所の規則 ―Article 52 Regulations of the Court

① 裁判官は、本規程ならびに手紙および証拠の規則に従って、絶対的多数をもって、本裁判所の日常的な職務にとって必要な規則を採択する。 ② 検察官および書記官は、この規則の制定および改正について、協議する。 ③ この規則および改正規則は、裁判官が別に…

第53条 捜査の端緒 ―Article 53 Initiation of an investigation

① 検察官は、利用できる情報を評価して、捜査を開始しなければならない。ただし、本規程に従って手続を進める合理的な理由がないと判断する場合はこの限りでない。捜査を開始するかどうかを決定するにあたって、検察官は、次に掲げる事情を考慮しなければな…

第54条 検察官の捜査に関する義務および権限 ―Article 54 Duties and powers of the Prosecutor with respect to investigations

① 検察官は、次に掲げることをしなければならない。 a 真実を立証するため、本規程に照らして刑事責任があるかどうかについて判断するのに関連するあらゆる事実および証拠を収集するよう捜査し、かつ、その場合において、犯罪にあたる事情と免責にあたる事情…